495: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/23(木) 01:03:03.46 ID:hdiF6eWI0
もう、機械の進行を止めるのは難しい――
さっき、矢幡さんのほうに出向くのではなく、機械のほうに手りゅう弾を投げていれば、逃げ道が確保できていただろう。
戦闘になると冷静な判断が出来ない自分に嫌気がさす――
「咲実、行くわよ!」
手りゅう弾のピンを外す目黒を見た咲実は、頷いてこちらへ近づく。
そして目黒は矢幡さんが居る廊下へ思いっきり手りゅう弾を投げ込んだ。
その直後、足音が忙しく離れていくのが聞こえた。
脳震盪でも起きたかのような振動が体に走り、動きが止まる――
目黒はそのまま、廊下に出て拳銃を何発も打ちながら牽制して突き進む。
後ろから聞こえてくる咲実の足音が、とても頼もしかった。
矢幡さんが拳銃だけを廊下に出して適当に撃って抵抗しているが、どれも銃弾は明後日の方向に飛んで行っている。
(もう、行くしかないわ!)
後ろからは相変わらず機械たちが押し寄せてきている。
廊下の角には機械を操作している矢幡さんがいるはずだ。
目黒は拳銃を撃ちながら、スタンガンを取り出して走りこむ――
(いまだ……!)
向こうが拳銃を撃たなくなったということは、装填しているということ――
いまならかなりの隙があり、近距離のスタンガンで相手を気絶させることが出来る。
(食らいなさい!)
目を大きく見開いた矢幡さんがこちらを見ている――
――はずだった。
撃たれた――
走っていた足が、徐々にもつれ初めて――
「あ……あぅぁ…………」
立たないと――
矢幡さんに勝たないと――
視界の遠くには、こちらを嘲笑う矢幡さんの姿が見えた。
ああ、そうか――
矢幡さんの方が私の一枚も二枚も上手だったのだ……
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