546: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/23(木) 18:57:22.27 ID:hdiF6eWI0
「咲実……スタングレネードの準備をしておいて――」
「は、はい!」
咲実が鞄からスタングレネードを取り出している間に、私はスイッチを押すタイミングを少し遅らせた――
「……! 手塚、罠――」
高山が爆弾の存在に気が付いたが、既に時遅し――
轟音と振動と共に、その声はかき消されて――
「うぁ――ッ!」
北条は爆風で突き飛ばされて廊下に転がっていた。
やってしまった――
私は、間接的と言え殺人という犯罪に手を染めてしまったのだ……
「咲実、やっぱり必要なかったみたい」
「はい、分かりました」
咲実はまだ私が2人の足止めをしていると思っているのだろう。
私は、何も言わずに北条のもとへ駆け寄った。
「……ッ!」
「動かないでね?」
廊下に倒れていた北条はピタッと動かなくなり、大人しくなった。
武装解除をしていると、咲実がこちらへ寄ってきていた。
「奈央さん! 速く逃げないと……!」
咲実、ごめん――
「その必要は、ないわ……」
「えっ……?」
煙が薄らと晴れていくと、咲実は驚嘆の顔を浮かべてサッと“ソレ”から目を逸らした。
北条の手に手錠をかけて、拘束するとその場に座らせた。
「……北条、悪いけど咲実のPDAを返して貰うわね」
「……勝手にもっていくがいいさ! どうせ私はもう殺されるんだからな……!」
北条のポケットからQのPDAを取り出す。
「咲実……ほら、受け取って」
「……はい」
咲実は暗い表情をして、そのPDAを受け取る。
「北条の解除条件は何?」
「……私は“K”。PDAを5個集める事さ」
「いま、何個集めたの?」
「……3つ」
「そう……だったら、手塚と高山のPDAのどちらかが生き残っていたら条件が達成されるわね」
「なっ……あんた、何言ってんだ!?」
「勘違いしないで。私は文香さんの代わりをしているだけよ……」
そう、文香さんだったらきっと彼女のことをも助けたはずだ。
だから、私はその真似事をやっているだけであって、これっぽっちも北条のことを助けようという気は無かった。
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