555: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/23(木) 19:33:51.91 ID:hdiF6eWI0
(……まさか、起動しているなんてね)
奇跡的に両者のPDAは壊れることなく起動していた。
目黒はそれを取って、北条のもとへ歩いていく。
「運が良くて良かったわね?」
そう言いながら北条の首輪に残り2つのPDAを挿入して、最後に北条のPDAを挿入した――
『おめでとうございます、あなたは首輪の解除条件を満たしました――』
淡々とした機械音声が流れて、あっさり首輪が外れた。
「わ、私を助けてなんのメリットがあるのさ……! 私はアンタを襲ったんだぞ!?」
北条は相変わらず助けられた事が信じられないという顔をして、咲実のほうをみていた。
「……どうしてでしょうか。でも、出来るだけ多くの人たちが生きて帰った方が良いと思います」
咲実は笑顔で北条の方を見る。
「……わけが分からないよ! どうして、助けるの? どうして、どうして……う、うわああああぁぁぁん!」
北条は錯乱して大声で泣き始めた。
彼女なりに何かを抱えているようだったので、何も言わずに目黒は放って置いた。
「……矢幡さん、もう私たちは争う必要が無いわ」
そう言うと、廊下から矢幡さんがゆっくりと歩いてきた。
「……そうね。もう、このゲームは終わったわ」
矢幡さんにQとJOKER意外のPDA全て渡す。
「……JOKERは――」
「私のPDAがJOKERなの。だから、大丈夫よ」
JOKERという画面を見せると矢幡さんは迷いなくPDAを破壊し始めた。
御剣君のA、北条のK、手塚の10、そして高山の2が破壊された。
と、いうことは誰かひとりを矢幡さんは殺害したという事なのだろう。
まあ、もはやここまでくればどうでも良い事なのだが――
「……さて、あとは待つだけね」
「はい……」
目黒の首輪が外れるまであと4時間もないくらいである。
しかし、そのようなことをしなくてもいいようだった。
『これ以上戦闘が行われず、このまま生存しているプレイヤーすべての首輪が解除されると判断されたため、全員の首輪を解除します――』
なかなか気を使ってくれる主催者だな、と思っている内に首輪が外れた。
「……奈央さん」
「うん……」
「奈央さん、私たち……私たち…………ッ!」
「うん……私たちは勝ったんだよ」
泣いている咲実を思いっきり抱いてやる。
986Res/411.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。