943: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/28(火) 23:02:46.58 ID:vJ1/8zcw0
ゲーム開始から64時間――
ついに5階も侵入禁止エリアとなり、行動できる範囲はここ6階のみ――
漆山の協力、そして何より高山が軽傷に済むよう攻撃してくれていたおかげか、傷はすっかり治っていた。
「よし、そろそろいくか」
何か探知ソフトを手に入れたのか、御剣たちはこっちに近づいてきているらしい。
陸島や麗佳は反対しただろうが、恐らく御剣の我の強さに負けたのだろう。
「なぁ、向こうはお前を警戒してるんだろう? なのにどうして向こうから近づいてきているんだ?」
「知らねぇよ。どっちみち会いに行くんだから好都合だろうが、細けぇこと気にしてんじゃねーよ」
「……そうだな」
いつの間にか、漆山がどもらずに俺と会話している事に気が付いた。
そこまで仲良くなる気は無かったのだが、まあいいだろう……。
「……なぁ、梶原。どうしたらお前みたいに言いたいことをハッキリ言えるようになるんだ?」
「あぁん? そんなの簡単じゃねぇか。周りの目とか気にせずに自分の思ってることを言えば良いだけの事だろうが」
「でも、それだと周りから反感を買ってしまうだろう?」
「そんなクソみてーな世界なら、こっちから捨てちまえば良いんだよ。自分が納得いくような場所を見つけるまで、捨て続けろ……」
「なるほど、な……」
漆山は珍しく難しそうな顔をしていた。
「さて、そろそろ向こうがお出まししてくるぞ……」
待ち構えていると、まず御剣が見えた。
そして隣に陸島と綺堂、麗佳、と警戒した目でこちらを見ている。
「ほら、おっさん……行けよ」
「あ、あぁ……。色々、世話になったな――」
漆山はゆっくりと向こう側に行く。それを見届けた俺はゆっくりと口を開いた。
「……御剣、優希を見つけてくれたんだろ?」
「そうですね。でも、優希と会うには条件があります!」
「……なんだ?」
「もう誰も殺さない、ということと……俺達と一緒に解除条件とは別に首輪を外す方法を探すのを手伝うってことです!」
「分かった。……と言うよりも、もう俺は正攻法だと首輪が外せないんだわ」
「え……それって!」
「ああ、俺のPDAは破壊された。だから、もうどうしようもねぇってわけよ」
そうこうしている内に、漆山は首輪を外して喜びながらどこかへ行ってしまった。
俺は持っているPDA全て御剣に渡し、陸島にボディーチェックを受けた。
「……渚さん、優希を呼んできてください」
「は〜い」
麗佳がこちらを色々な感情が混ざった目で見てくるが、俺は無視をし続けた。
御剣や陸島も俺に何も話しかける事は無く、ただ優希が来るのを待ち続けるだけだった――
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