945: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/28(火) 23:21:13.71 ID:vJ1/8zcw0
足音が、聞こえてくる――
それは、大人の歩幅より速いテンポで音を刻む――
廊下の角から、ひらりと姿を現した小さな小さな……天使――
「――――――おじさんッ!!!!」
俺は飛んできた天使を優しく抱き寄せた。
「…………ゆう、き。優希ッ!」
俺は小さな身体をこれでもかと言うくらいに抱きしめた。
彼女の全てが、俺の感情をこれでもかというくらいに爆発させた。
「おじさん……ずっと……ずっと会いたかったよぉ!!」
俺の腕の中で泣きじゃくる優希の頭を撫でた。
初めて、優希の頭を撫でた。
「もう、会えないんじゃ、ないかって……っ! おじさんと、一緒に、テトリスでき、ないのかなって……っ!」
「ゆうき…………ゆう、き…………っ!」
俺は泣いていた。
何も言わずに、俺はずっと彼女を抱き続けた。
「……おじさん、ごめん。テトリスやりすぎて、充電が切れちゃった」
「良いんだ、そんなのは良いんだ。優希が無事だったら、良いんだよ…………!」
優希から手渡された携帯電話を俺は震えた手で受け取る。
「私、またテトリスやりたいな……」
「今度は、俺、と一緒にやろう……! 家には、2人プレイ用のが、ある、から……っ!」
「もーう、おじさん泣き過ぎだよー! 私よりも泣き虫なのー?」
「ハハッ……そう、なのかもな。おじさん、泣き虫だわ!」
「じゃあ、今度は私がおじさんを慰めてあげるね?」
そう言って、優希は俺の頭を優しくなでてくれた――――
986Res/411.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。