過去ログ - 滝壺「とうま・・・好き・・・」
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)[sage saga]
2012/09/18(火) 19:10:22.11 ID:KhqqgVGko


 住宅街の隙間にポツンと存在する、小さな公園。

 面積を小さく、遊具も少ないその場所を訪れる者は、最近まで殆どいなかった。

 それが変わったのは、この一ヶ月前の話だ。

「どっこいしょっ、と」

「浜面、大体おじさんみたい」

 男と、そして女の子。

 季節外れに引っ越してきたのだろう。

 親子というよりもむしろ歳の離れた兄妹と言った風情の二人は、朝だったり昼だったり夕方だったりと、日によって時間帯を変えながらも、彼等の住むアパートからほど近いこの寂れた公園によく散歩にきていた。

 ドレス、とまではいわないが、白やピンクのフリルやレースがついた上着に、ミニスカートとワインレッドで厚手のタイツと言った風貌の少女は、何の酔狂かこの狭い公園の花壇に(勝手に)植えた植物の世話をして。

 ジャージの上着にジーンズという格好の男は、ベンチに座って少女が手入れを済ませるのを待つのが、ここに来たときの常だった。

「ふー……」

 男――浜面はベンチの背もたれに体重をかけながら、空を見上げてため息をついた。

 憂鬱、のため息ではなくくつろぎのため息。首に巻いた滝壺手製のマフラーが、僅かに揺れる。

 整備関係の仕事を始めて半年。休日に散歩が趣味というのもあれだが、この日常は彼なりに気に入っていた。

 この春に就職とともに、少し大きめの一軒屋を購入し、滝壺、フレメアと同居に至っている。

 家の購入費用は滝壺から。

 若干情けない部分はあったが、自分の稼ぎではマイホームを持つことなど夢のまた夢である。

 フレメアがいることや、何より使える金はきちんとした方向で使うことが幸せのため、という滝壺の意見は、地に脚をつけて暮らすことを提案した自分としても納得のできるものだった。

 もちろん生活自体は浜面の稼ぎで行っている。

 能力研究や暗部で稼いだ金は、極力使わない。それがお互いの共通認識でもあった。


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