16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2012/08/16(木) 09:02:17.18 ID:DeNa+wh1o
思い返す…までもない。さっき唯ちゃんに説明したから。
私は唯ちゃんに「付き合いなさい」と命令し、魔法をかけた……
だって、好きだったから、付き合いたかったから。
唯「……他のみんなとは、違って」
他のみんなには……唯ちゃんにやきもち焼かせたかったから、そのために私を好きになってもらおうとした。
思い出したくもない誤ちだけど、私はみんなに「私を好きになりなさい」と命令して……
紬「……あっ!!」
唯「…ね?」
そもそもの目的が違う以上、このことで記憶違いはないはず。
だとすれば、唯ちゃんの言う通りの理由…? そして、唯ちゃんの気持ちも本当…?
紬「ほ、ほんとう……?」
唯「うん」
紬「じゃ、じゃあ……それなら……」
それなら。それが本当なら。
そう考えた時。その考えに思い至った時。
紬「っ、ひっく、ひぐっ……」ポロポロ
唯「む、ムギちゃん!? どうしたの!? なんで泣くの!?」
紬「っく、だ、だって、私……」
だって、唯ちゃんが私を好きって言ってくれたから。
だって、魔法なんて無くても私達は両想いだったんだから。
だから、それを自ら壊した自分自身が、どうしようもなく惨めで。
両想いだったという事実は、本来なら嬉しいはずなのに。
唯ちゃんが許してくれたのも、ありがたいことのはずなのに。
唯ちゃんが好きだと言った『私』を、私自身は大嫌いにしか思えない。
馬鹿で愚かで救いようのない私が、私は大嫌い。
そんな考えが頭の中でぐるぐる回って情けなくて悔しくて、涙が溢れて止まらない。
唯「だ、大丈夫? ムギちゃん……えっと、よしよし――」
……私は、私を大嫌い。
紬「ッ!?」バッ
唯「えっ――」
だから、唯ちゃんがそんな私に手を伸ばそうとした時、過剰なほどに身を引いた。
その手を振り払うように逃げた。綺麗な手で、汚いものに触って欲しくなかったから。
「触らないで!」って叫ばなかったのは奇跡だったとしか思えない。焼け石に水程度の奇跡だけど。
拒絶というたった一つの事実の前では、何の意味も成さない小さな奇跡だけど。
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