19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2012/08/16(木) 09:05:30.74 ID:DeNa+wh1o
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紬「――……覚えてる……」
自室の見慣れた高い高い天井を視界に認識し、最初の言葉。
覚えてた。
全部、覚えてた。
覚えておくべきことだけじゃなくて、それこそ文字通り全部のことを覚えていた。
それでもそれらは少しずつぼやけてきているような気はする。寝起きだから。
でも、どういうことだろう?
紬「……って、あれっ!?」
カレンダーに目をやる。
記憶を辿る。
もう一度カレンダーに目をやる。
念の為、携帯電話のカレンダーも見る。
更に念の為、あとで菫にも聞いてみよう、と考える。
そうして出した結論は。
紬「……夢オチ!?」
唯ちゃんに魔法をかけて過ごしたはずの日付と、今日の日付が一緒なら、そう結論を出すしかないよね。
紬「そっか……」
魔法なんてなかった。私の貰った魔法も、そして唯ちゃんの忘れる魔法も。
だから私は覚えてる。そうすれば説明はつくし、それでも私が魔法から学んだことは胸の中にある。
そして、私が皆に魔法をかけたという事実は存在しない。ただの夢。
これは考えられる限りでは最良の状況なんじゃないかな。
紬「……最良…?」
……ううん、そんなことはない。
私のこの気持ちは、唯ちゃんに対する気持ちは、夢じゃない。
だから夢の中のほうが良かった点もある。一つだけある。
紬「……でも、夢は夢だよね……」
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