184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/09/07(金) 19:00:50.74 ID:PQlt3vyDO
クロ「ちっくしょうが!」
必死になってリボンを振りほどこうとしているその様は、まるで苦しみにのた打ち回っているようにさえ見えた。
話を聞かせてから、彼は30分以上はそうしている。
見ていて胸が痛くなる程に、それは痛々しかった。
『彼女』はただその姿を目に焼き付ける。
「あなたが行ったところで、彼女は耳を貸すのかしら。」
その問いにクロは答えるつもりも暇もないと、歯を食い縛りもがく。
「喧嘩をして、あんな酷いことも言われて、それでも何故あなたは彼女を見捨てないの?」
もし、クロが落ち着いていたら、その時、『彼女』の口調に軽い憤慨が滲み出ていることに気付けたかもしれなかった。
しかし、相も変わらず、クロはそんなことに構ってはいられなかった。
それでも、その問いだけはきちんと聞こえていたようで
クロ「アイツが何を言ってほしいだとか、家族がどーだとかオイラには知ったことじゃねーよ。」
彼は、口を開く。
クロ「ただ、一宿一飯の恩義ってヤツか。」
クロが視線をそらした先には、マミに渡すはずだった弁当箱が空になって転がっている。
クロ「うまかったって、言いに行くだけだ。」
めんどくせーけどな、とふてぶてしい顔をするクロに、『彼女』は───
「変わらないわね。あなたは。」
呆れたような言葉をもらした。
クロ「は?お前、どーいうこと」
「説明している暇はないわ。」
クロの言葉を遮るように、『彼女』は言葉をつむいだ。
「このまま行けば────巴マミは、死ぬ。」
クロ「なんだと?」
「場所は、見滝原総合病院。彼女はそこで、魔女に襲われて死ぬ。」
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