278:すみません、投稿は今日のお昼頃にします。[sage saga]
2012/09/15(土) 00:22:03.89 ID:x4TlW7RDO
知久「まぁ、ここまで言っておいてなんだけど、まだそうだって確認できた訳ではないよ」
まだ確認していない、という言葉から察するに恐らく彼は、かぐら達の住んでいた街にも足を運ぶつもりなのだろう。
これはもう、頭の良い人格者ではなく、頭の悪いお人好しなのではないか。
呆れ果ててグゥの音もでない。
クロ「たしかに、こりゃお節介な母ちゃんだ」
『マザー』という言葉に込められた意味が、なんとなく分かってきた気がする。
知久「お節介なら君だって似たようなものだよ。この街に来てから一体いくつの厄介ごとに首を突っ込んだんだい?」
彼には、自分が異世界から来たという事情を話している。
しかも、あっさりと信じられてしまい、ある程度の説得は必要だと身構えていたクロは肩透かしをくらってしまった。
そもそも、猫と会話できるような男である。
異世界だ、サイボーグだ、なんて彼にはファンタジーではなかったのかもしれない。
クロ「お前、いつから猫と話せるようになったんだ?」
その言葉に、知久は腕を組んで唸った。
知久「うーん、話せるようになったのは、ここ二・三年かな?それまでも、普通に通りすがった猫達の世話はしていたんだけどね。ある日、猫に突然話しかけられたんだ。びっくりしながら、答えてみたらコミュニケーションが成立してね」
いやぁ、あの時は本当に驚いたよ、と頭を掻きながら彼は笑う。
知久「最近じゃ自分が猫になっている夢を見るくらいだよ」
能天気な男だった。
温かく、緩い、全てを受け入れるような柔らかさがありながら、ここまで自分の明確な意志を伝えてくる。
よく、分からない人間だ。
クロ「・・・夢、ねぇ。そいつはどんな夢だ?」
知久「あぁ、それは──」
まどか「わきゃー!やめてかぐらちゃーん!!」
かぐら「待て待てー!悪い奴はやっつけちゃうぞー!」
知久の言葉を遮って、庭からまどかの悲鳴と、かぐらの楽しそうな声が聞こえてきた。
まどか「かぐらちゃん!ギブ!ギブ!!」
かぐら「お腹見せてないからダメー!」
不幸なことに、まどかの言葉はかぐらに通じるが、かぐらの言葉はまどかには通じないようで、もう、まどかには何が何やら分かっていないのだろう。
クロ「楽しそーだな」
知久「そうだね」
彼らは、座して動かなかった。
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