382:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/09/26(水) 22:22:55.62 ID:KACDQaODO
魔女とクロが正面からぶつかる事はなかった。
ぶつかる瞬間に、クロが真横からぶつかってきたものに押し倒されたからだ。
獲物を見失った魔女は勢いあまって壁にぶつかり、めりこんでしまった。
クロは仰向けになったまま動けない。
身体の上にのしかかってブルブルと震えているかぐらがいたからだ。
クロ「……どけ」
ボソリと、呟くようにクロはかぐらに言った。
かぐら「やだ」
そして、かぐらもか細い声で、しかし断固とした意志を伝えてくる。
クロ「もう大丈夫だ、だからどけ」
かぐら「大丈夫じゃないもん。絶対に痛いもん」
そういえば、かぐらは自分がサイボーグだという事を知らなかったか。
ならば、伝えた方がいいだろう、自分には痛みを感じることなど、ないのだと。
クロ「こんくらい、全然痛くねーよ。オイラはな」
サイボーグなんだと続くはずだったクロの言葉は
かぐら「お兄ちゃんが平気でも、そばにいるかぐらが痛かったんだもん!!」
かぐらの涙混じりの叫びにかき消された。
思わずクロは、目をパチクリとさせた。
かぐら「痛かったもん……、お兄ちゃんがボコボコにやれていたとき、痛かったもん」
その声は、自暴自棄になりかけた心を打ち抜いた。
かぐら「このま、ま。いなくなっちゃうんじゃないかって。いなく……、嫌だよぉ、いなくなっちゃ嫌だよぉ!」
その嗚咽は、ヤケクソに暴れていた思考を霧散させた。
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