537:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/10/09(火) 13:56:01.08 ID:mLRClCHDO
─────見滝原総合病院
ベッドの上で、一人の少年が自分の左腕を見ていた。
ダラリと力なく白いシーツの上に垂れ下がっているそれは、どんなに力を込めても微動だにしない。
思いを込めたところで反応だって返りやしなかった。
唇を噛み締める。
嗚咽のような呻き声が漏れた。
出来ることならこの苛立ちに身を任せてこの腕をを叩きつけてしまいたい。
しかし、それすらも叶わない。
いらない、こんなもの、もういらない。
これがあれば望んでしまう。
『いつかきっと』と、しかしそれはもう、ありえない。
「う、う、うぅ……、ああああ!!」
右手を拳に固めて、思いっきり左腕を殴り付ける。
二度、三度、四度、痛みはない。
なのに、涙が止まらない。
「なんで、なんでだよぉ!!なんで、僕だけが、こんなっ……!」
虚しさからか、とうとう彼はそうする事すらやめて、シーツをギュッと握り締めた。
「うるせぇな、ここは病院だぞ」
ふと、聞き覚えのある声が耳を打ち、少年は顔を上げた。
「クロ、さん?」
「よう、恭介」
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