543:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/09(火) 21:04:19.44 ID:mLRClCHDO
恭介「……もう、どんなにリハビリをしても駄目だそうです。奇跡か魔法でも起こらない限り動かないって、先生に言われました」
力なく、という言葉がそのまま当てはまるような言い方だった。
覇気もなく、意気もない。
その言葉にはなんら意味が無いのではないかと錯覚を起こしてしまいそうなほどだ。
クロ「それ、さやかには言ってねーだろうな」
しかし、クロが一番最初に発した言葉は意外な人間の名前だった。
恭介にとっては聞き馴染みのある美樹さやかと、恐らくクロの言う『さやか』は同一人物だろう。
では、何故?
恭介「なんで、さやかがこの病室に出入りしている事を知ってるんですか?」
その言葉を聞いて、ようやく彼はこちらを振り向いた。
左手でCDをつまみながらプラプラと揺らすという見るからに軽薄な態度でありながら、明らかに彼は威圧をしている。
クロ「会った時に少しだけ臭いがあったし、ここに来てからも臭いがした。それと、このCDにもな」
特に、CDには沢山の臭いが染み付いていた。
例えに過ぎないが
店の棚に並んでいたCDを手にとっては戻し手にとっては戻しとすれば、これほど臭いがつくのではないか。
ようやく選んだ一点物を、これから届ける人間を思って胸に抱きしめれば、これほど臭いがつくのではないか。
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