569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/10/11(木) 12:38:39.23 ID:uMvngx8DO
その猛スピードで走る車椅子は、土煙を上げながら住宅密集地を駆け抜けていた。
恭介「わっ、わ、わ、わ」
ガタンと激しい揺れが身体を上下に振り回す度に、恭介はなんとか身体をその衝撃に合わせて身体を動かし、車椅子から振り飛ばされないようにする。
念のために備え付けのシートベルトを腰に強く巻いているが、それでも不安感は拭いきれなかった。
恭介「で、でもクロさん!厄介事って結局なんなんですか!?」
大声を上げて、後ろの方で車椅子を押しているであろうクロに声をかけた。
耳元で風が横切る音がひっきりなしに聞こえる。
普通の音量では自分の声など掻き消えてしまうだろう。
クロ「厄介事は厄介だ!後悔しねーつったのはお前だぞ!?腹ぁくくれよ!!」
苛立ちと、威勢の良さが込められた叫びが返ってくる。
彼の態度や急いでいる様から、さやかに確かな危機が迫っている事を感じ取れる。
恭介「さやか……」
クロ「けっ、いっちょ前に心配とかしてんじゃねーよ!!役立たずのくせしやがって!!」
自分の呟きはどういう訳かクロには筒抜けだったらしく、わざわざ聞こえやすいようにと返事は大声である。
クロ「根性は認めてやるけどな」
恭介「えっ、今なんて」
クロが何かを言った気がしたが、恭介は聞こえなかったらしく、クロもまた二度も言う気はない。
クロ「黙ってな、舌噛むぜ!?」
グンっと、またスピードが上がった。
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