645:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/10/23(火) 23:51:25.41 ID:e2M1jR3DO
信じて欲しかった。
恭介を救えるのは自分なのだと。
信じて欲しかった。
ヒーローはもう存在するのだと。
さやか「腕も足もきっと良くなるよ」
気味が悪い程の優しい声が恭介の耳を打つ。
その時初めて恭介はじっくりとさやかの顔を見る事ができた。
恭介「さやか?」
その顔に、その瞳に恭介は言葉に詰まった。
彼女の顔には媚びるような笑顔が張りついていて、目には輝きが失せ濁っている。
恭介は、そんなさやかを今まで見たことがなかった。
さやか「ね、私がなんとかするから。アイツなんかいなくてもヒーローなら私がなれるよ。恭介は私が守ってあげる」
恭介「さやか、何言って」
ゾッとするような空々しいような響きを持つ言葉を繰り返すさやか。
まるで黙ってしまえば恭介がどこに行ってしまうのではないかと思っているようにも見えた。
さやか「奇跡も魔法もあるんだよ?だから───」
恭介「───さやか」
恭介はさやかの言葉を遮る。
もう十分だった。
彼女の言葉の意味まではよく分からなくても良かった。
自分の弱さが、彼女に対する甘えが彼女をこんな風にしたのだ。
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