666:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/11/01(木) 01:24:08.69 ID:kMGO1+QDO
黒い魔女の身体に、二つの穴が空いていた。
細いその身体は肉片をえぐり取られ、ヨロヨロとよろめき、次の瞬間には木の枝のように折れてしまいそうだ。
そして
『──────!』
それは、断末魔だったのだろうか。
それに痛みや絶望を感じ取る程の感情があったのかは分からないが、確かに殺した。
それだけは、確かだった。
霧散していく魔女の姿を静かに佇みながら、クロはジッと見つめていた。
クロ「……後は」
魔女の消滅を確認した後、顔を反らしてもう一体の魔女がいる方向に目をやった。
そこには、自分の意識が途切れる前と変わらぬ姿で床に落書きをしている魔女がいる。
クロ「まだいたのか?逃げりゃいいのによ」
喧騒も殺し合いも、それには全くもって意味をなさないものなのかもしれなかった。
これがしている事は、ただ、絵を描くだけである。
しかしそれが使い魔を生み出し、人を殺す。
無邪気な邪気と言えばいいだろうか。
だが、これには、心がない。
どんなに探ってみても何も感じないのだ。
どんなに殺意を向けても
どんなに怒りを向けても
空々しいばかりであり
魔女、というものの不可思議さは際立つばかりである。
少女の姿をして遊戯にふける魔女。
思えば、最初の鬼ごっこすらこれにとってはほんのじゃれ合いだったのだろう。
でも、殺す。
クロは初めて、言い様のない思いを感じた。
いや、どんな気持ちなのかは分かる。
なんというか───哀れだった。
銃声
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