97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/08/28(火) 21:10:46.94 ID:hRAG+XoDO
二回目にもなれば慣れたものであり、更に言えばこの現象に関しては自身では抵抗のすべはないことも知っている。
目の前で、暗い世界が構築されていく様を見ながら、半ばクロは見物するような面持ちで結界の中へ引きずりこまれていった。
クロ「猫まで襲うってのか?無差別もいいとこだな。」
呆れたように、変貌した風景を眺めまわすも、いくばくかの違和感を感じる。
それは今見える世界に対して、もっと言えば今のこの『見える視界の』状態に関して。
周囲は、まさに暗闇の中にあるとも言えた。
以前取り込まれた結界よりも暗く、闇が深い。
通常ならば、これくらいの暗さでも、ある程度は動けたかもしれないが、彼はそれができない。
クロは夜目が効かないのだ。
暗闇における彼の視力は、彼の行動を大きく制限するものだった。
クロ「やっかいなことになっちまった。」
流石にぼやかざるを得なく、苛立ちまぎれに耳をかいていると、自分の足に擦り寄ってくるものがいた。
「ミー・・・。」
不安げな、か細い声が聞こえてきた。
クロ「お前まで来てたのか?」
どうやら巻き添いを食ってしまったらしい子猫は身体を小さく震わせながらクロにピッタリを張り付いてきた。
クロ「どうしたものかねぇ・・・。」
『こんなところにいても、どうしようもないわ。先に進みましょう。』
ザ、ザ、と一瞬だけ、ピントの合わない視界にノイズが走った。
クロ「!?」
身体を強張らせる。
頭を振って、もう一度目を凝らしてみても、もうなんの異常も見当たらなかった。
ノイズと共に一瞬だけ見えた何かと、一瞬だけ聞こえた声───、考えて見ても検討がつかない。
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