970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/12/22(土) 11:00:52.17 ID:xGaoN6rDO
さっきの少女に怪我はなかったろうか。
思えば酷い事をしてしまったものである。
疲労、焦り、痛みに加え、後悔まで抱え込んで、それでも知久は止まれない。
もうすぐで、保育園に着く。
何が起きているのか、何が起きようとしているのか、彼にはまったく理解できない。
だが、それは行動を止める理由にはなり得ない。
あの男の言葉を信じるならば、走らなければならない。
守るために。
知久(早く、間に合わなくなる前にッ!)
守るため?
知久(僕が、僕がやらなければッ!)
────本当にそうか?
知久(もう二度と!……え、二度?)
『繰り返さないためだろう』
知久(なん、だ?今の……)
足が止まった。
あれだけ身体が酸素を求めていたというのに、今は息が止まっている。
知久(誰だ……、君は。いや、僕だ。これは───)
分からない、知らない、そんな何かがいる事に気付いた。
頭、とはまた違う。
もっと、もっと深い場所に、静かに佇むように。
知久(これは、一体)
舌の根が痺れる。
今、この瞬間、一言も喋れる気がしない。
意識すら遠くなりかけている。
恐怖とは違う、拒絶ともまた違う、自分でも理解しえない感情に飲み込まれかけた。
その時だった。
「───パパ!」
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