過去ログ - 佐々木「お邪魔します」 キョン「ん?」
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305:枯れ木も山の賑わい ◆tv.yDBBdhs[saga]
2012/11/05(月) 14:31:49.31 ID:qZ184d14o
試験的投下。地の文入りで、1レスだけ



 佐々木が何の前触れもなくこんなことを言い出した。


「キョン、明日から僕とデートにでも洒落込まないか?」


 ちなみに今は家族と共に夕食をとった後で、親父は自室に、母親は佐々木と一緒に食器を洗い終えた後、妹と一緒に風呂場へ向かった。

妹のやたらと上機嫌な、上手いかどうかは甲乙つけがたい歌声が聞こえてくる。

 矢庭に物を言い出すのはハルヒの特権だったはずなんだがな。もっとも、『デートしよう』なんて、恋愛を『一種の精神病』と言ってのける

我らが団長様からは一生拝聴できない言葉であることは火を見るより明らかなことだが。 


「随分と突然にものを言い出すな、お前は。なんでまた明日からなんだ?」


 佐々木は食後に淹れたコーヒーに目を落としながら、


「質問を質問で返さないでほしいな。もしかして何か用事があったのかい?」


 質問を質問で返さないで欲しいね。実のところ、特にない。今日から3〜4日、ハルヒが実家に帰るらしくてな。こっちに戻ってくるまで自愛してろとのお達しだ。


「なら、遊びに行く暇はある訳だ?」

 
 手を胸の前で交差させ、そこに顎を乗せた佐々木は、獲物を見つけた悪戯っ子のような笑みを浮かべながら聞き返してくる。


「誰かさんのおかげで宿題も今日で全部片付いちまったし、ぶっちゃけ暇で仕方ない。去年の俺からしたら有り得ない話だ」


「明日から、といった理由はそれだよ。キミは今日、見事にすべての学校の課題をやりきった。宿題をやり始める前に交わした会話を覚えているか?」


 ああ、あのフルコースがどうたらって話か?


「そうだ。間食した余韻の冷めぬ間にデザートを頂こうと思ったんだが……どうかな?」


 俺は一向に構わん。オカンがいい顔をするかどうかは別だがな。去年は随分と遊んでいたっていう印象を与えてしまったらしくてな。

そこに成績の悪さも相まって、塾への入校を急かされたほどだ。出来ればオカンの本気で俺の未来を心配する、憂いに満ちた表情は拝みたくない。


 しかし、佐々木は余裕の表情を崩すことなく、


「キミのご母堂の許可はもうとってある。キミのその心配は杞憂だよ」


 随分と、準備と手際の良い奴だ。 ハルヒの奴に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいね。
 
 佐々木のお誘いを快諾し、どこに行くのかという話を持ちかけようとした俺なのだが、その試みは無残にも風呂から上がってきた妹に阻まれてしまった。

もちろん、妹の存在を気にせずに会話を続行することも不可能ではない。 しかしだ、明日から佐々木と遊びに行くという話を妹の前でしてしまえば、翌日に

自分も連れて行けと言い出すのは自明の理であり、そのようなことになればハルヒ張りに引っ張りまわされることになってしまう。

 何としてもそのような事態を避けたい俺は「佐々木お姉ちゃ〜ん、いっしょにねよー?」と、俺の事は兄とも、名前でも呼ばない妹に引きずられる佐々木を黙って

見送る事しかできず、ロシア戦役の際のナポレオンの様に、自分の部屋へ撤退するしかなかった。 準備のいい佐々木が、翌日の行動プランを立てていることに

期待しよう。 そこ、情けないとかいうな。


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