過去ログ - 会長「HELLSINGを見なさい! 貴方にはラスボス精神が足りないわ!」杉崎「はい?」
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[saga]
2012/08/19(日) 18:17:22.88 ID:I0pLI0iP0
あれは碧陽学園に入学した最初の年の春のことだった。
中学生の頃、どっちつかずの態度をとったせいで幼馴染の飛鳥と義妹の林檎を傷つけてしまってから、俺は人と交流することを止めた。一人、まるで悲劇の主人公のように、まるで辛い悲しみを背負っているのだとでも主張するように、クラスメイトとの交流を避けてクラスから意図的に孤立していた。
幸いなことに、人間と人間との距離というのは丁度腕二本分らしい。どれだけ相手が手を伸ばしても、こちらから手を伸ばさない限り『友情』は成立しない。
クラスメイトの何人かは最初こそ孤立していた俺を憐れんだのか、それとも優しさからなのか声を掛けてくれたが、俺が頑として無視を続けていると……それもなくなった。
嬉しい限りである。俺はもう誰も傷つけたくない。
誰も傷つけない一番の方法。それは誰にも近付かないでいることだ。『友情』が自分から手を伸ばさない限り成立しないように、人を傷つけるのにも自分から近付く必要がある。だから自分が相手に一切近づかなければ誰も傷つけることもない。
俺が傷つくのは良い。だが自分が誰かを傷つけるのは嫌だった。
そんな俺にもある転機が訪れる。
常に世界に無関心でいた俺の前に――――彼女は現れたのだ。
そう。本の化け物が。
「むきゃっ。化物ってなによ!」
訂正。山のように重なった本をもったこの学園の"副"会長だ。本人が高校生というより小学生並みの低身長ということもあり、その顔は完全に本の東京タワーに隠れてしまっている。
流石にあらゆるものに無関心でいた俺もこれには思わず「大丈夫ですか?」と手を伸ばしてしまった。
それで紆余曲折あり俺は彼女と共に本を図書室に持っていくことになったのだ。
偶然の産物であったが、人と一緒に歩くことが酷く懐かしかった俺はこの初対面の小さな先輩に溜めこんだ悩みを吐き出してしまっていた。
幼馴染のこと。義妹のこと。
そして――――二人を傷つけてしまったこと。
話を聞き終わった先輩は暫し考えた様に沈黙すると、一転して断言するように言い放ったのだ。
「HELLSINGを見なさい! 貴方にはラスボス精神が足りないわ!」
「はい?」
突飛といえば余りにも突飛なそれに俺の時間が一瞬止まる。
(HELLSINGってなんだ? 口振りからすると何かの小説か漫画か?)
当時、漫画や小説などはジャンプ系列の作品などのメジャーどころしか知らなかった俺にとって『HELLSING』というのは初めて聞く単語であった。
知らない作品を出されて混乱する俺に彼女は更に続けた。
「あの作品に登場するキャラを見なさい! 血とバイオレンスの中でも凄く生き生きとしてるじゃない! 貴方にはあれくらいの図太さが必要よ。それくらいでちょうど良いわ」
そんなことを言われても『HELLSING』という作品自体を知らない俺にとっては「そうか。HELLSINGは血とバイオレンスに溢れる作品なのか」としか思わない。
だが血とバイオレンスとは対極に位置するような人が余りにも断言するので、
「HELLSINGか。あんなに進められたんだし見てみようか」
そう思ってしまったのだ。
これが杉崎鍵という人間にとって大きな分岐路になるとも知らずに。
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