過去ログ - セイバー「シロウに一番愛されているのは私ですね」オルタ「あ?」リリィ「え?」ネロ「む?」2ツメ
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◆ecH57LqR9PZC
[saga]
2012/08/31(金) 16:48:53.10 ID:knKtZ/M50
リリィ
「…………シロウ」
士郎
「え?」
身体を起こして、俺を見下ろす体勢になったリリィは囁く様な声で、吐息のような声を出した。
リリィ
「どう、でしたか…………キス?」
士郎
「!」
リリィからの言葉。
俺の名前を呼ぶだけじゃない質問。
それもさっきの不意打ちみたいなキスについてだ。
俺の中では何とかスルーしようとして、流しきれなかったこと。
リリィ自身流すのかと思っていたら、そこをダイレクトに彼女は触れてきた。
言葉につまり、どうしたら良いか不安にしていたらリリィはまた顔を近づけて来た。
リリィ
「…………」
触れそうな距離に、さっきの距離を思い出すような近さまでリリィは顔を寄せる。
そうなると俺の胸元にリリィの胸がむにっと当たってしまって、緊張は更に高まっていた。
そして、さらさらの髪が俺の頬に少しだけ触れてくる。
その刺激だけでまるで静電気に触れたみたいな感覚を覚えてしまうけれど、動いたら唇同士が触れあいそうなので動けないでいた。
少しでも動いたら唇同士が再び触れ合いそうな距離で、ゆっくりリリィは口を開いた。
リリィ
「私とのキス、どう、でしたか?」
聞こえてくるのはリリィの息遣い、そして俺の胸板にあたるリリィの柔らかい二つのそれから伝わる鼓動。
きっと俺の鼓動も伝わっているのだろう。
重なり合うように競争するように、ドキドキと心臓が脈打ち、血液を体中に送りまくっているのを感じながら口を開き……。
士郎
「ゃ、やわらか、かった…………」
……何と言うか馬鹿丸出しの返事をしてしまった。
もうちょっと気の利いたセリフもあっただろうに、俺は記憶に強く焼きついたリリィの唇の柔らかさだけを思い出してしまったのだ。
しかし、それを思い出すとどんどんその時を思い出してしまい、目の前のリリィを見れなくなってしまう。
だけど、動いたらまた触れてしまうので、俺はもう眼を閉じてこの謎の時間が過ぎるのを待つことにした。
だけど―――。
リリィ
「柔らかかった、だけ、ですか?」
「わ、わた、私との、キスは、その、それ、だけ、ですか?」
士郎
「…………」
―――リリィは真っ赤な顔で、必死に俺の浴衣の胸元に掴んでプルプル震えていた。
それで、さっきのキスが、完全に本気だと言うことを理解した。
事故でもふざけてした訳でも罰ゲームでもなく。
さっきのリリィのキスが本気で俺にしてくれた贈り物だということを理解した。
リリィ
「えっと、その、あ、あ、その…………」
白い頬を真っ赤にして、もじもじとする彼女を見ながら俺は―――。
士郎
「え、っと、ちょっと解らなかったから…………」
―――同じく顔を真っ赤にしながら―――。
士郎
「もう一回、して、くれないか?」
―――そんな提案をした。
俺の言葉にリリィの口が少し開いて、それがゆっくり笑みの形になったのを「綺麗だ」と思った。
ゆっくり近づく彼女の顔、その目を見つめて、三度目の意識してキスが行われた。
そして四度目は―――。
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