13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:13:12.17 ID:NZSihzP+o
『たいしたことではない。別室に行ってもらっただけのことだ』
返事は、さっきまでとは違って聞こえた。これまでのスピーカーより随分小さく、そして、近い。
ボイスチェンジャーから直に出ている音だ。
つまり、犯人はすぐ側に居る。
だが、涼の声は聞こえない。おそらく、こいつの言うように、別の部屋に追いやられたのだろう。
『さすがにこのままお帰り願うのは現実的ではないからね。しかし、だ』
足音がする。相手の気配がごく近くに感じられた。
『君が私を楽しませてくれている限りは、あちらの無事は約束してやってもいい』
「ほ、本当?」
『ああ。ただし、もちろん』
私はびくんと体を震わせる。犯人が、ついに私に触れたのだ。
肩に触れたその手のおぞましい感触に、震えが止まらない。
『君にはそれなりの代償を支払ってもらうがね』
そいつの指が、私の胸をわしづかみにした。その容赦ない強さに、私は悲鳴を堪えるのがやっとだった。
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