過去ログ - 涼「嘘と裏切りと律子姉ちゃん」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:20:10.39 ID:NZSihzP+o
 憎んでいる。
 そうだ、涼は私を憎んでいる。

 私だけではなく、石川社長やまなみさんや……彼を女装アイドルという不本意な立場に追い込んだ全てを。

 それを痛感したのは、唯一彼に反撃を試みた時の事だ。
 拘束から解放された私は、体の力を総動員して、彼をひっぱたこうとした。
 それでどうにかなると考えたわけでもない。ただ、すり切れずに残っていた激情に任せた一撃。

 だが、それはあっさりと防がれた。
 いや、それどころか、私が叩こうとした次の瞬間には、床に転がされ、組み伏せられていたのだ。

「昔とは違うんだよ、律子姉ちゃん」

 どこを極めているのか、涼が掴む場所からは痛みというよりは灼熱の感覚が走っていた。体を少しでも動かせば、信じられないほどの激痛が走り、
意識が途切れかけたほどだ。

「僕を都合の良い弟分だと思わないで欲しいな」

 涼は冷静な声でそう続け、そして、なにかとてもいいことを思い出したかのように、朗らかに笑った。

「ああ、そうだ。いいものを見せてあげるよ」

 そうして、私はそれを見せられたのだ。

『いだいいだいだいいいいぎぎっぎぎっ』

 部屋の壁の一つにはめ込まれたモニターにその無惨きわまりない光景が映り、天井に設置されたスピーカーから、大音量の悲鳴が迸る。

「残念なことに、石川社長は映像とか残す前に死んじゃってさ。なにしろ最初だったから、僕も焦ってたんだよね」


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