21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 20:22:51.18 ID:NZSihzP+o
「続き、見ないでいいの? まだまだだよ?」
そう言いながらも、涼は手に持っていたリモコンを操作して、モニターの電源を落とした。
「結局、この後、歯を全部折り取ってね。三日後に見に来たら死んでたよ。失血か窒息が原因かな」
自分の血で溺れるってどういう気分なんだろう、なんて言葉が涼の口から出るなどと、誰が想像出来たろうか。
でも、これは間違いのない現実なのだ。
「律子姉ちゃんにあそこまでのことをするつもりはないけど、あんまり反抗的だと、気が変わるかも知れないよ」
そう言い捨てて、彼は部屋を出て行ったのだ。
それから、私は泣いた。
涼の犯した罪を思い、それに至るまでのあの子の追い詰められようを思い、そして、彼の一見あっさりとした口調に含まれていた憎しみを思い、泣いた。
なぜ彼が私やまなみさんや石川社長を憎んでいるかなど、考えるまでもない。
男性を磨こうとアイドル業界の門を叩いた少年に女性アイドルとしてのデビューを強いた私たちを、男性アイドルとしての再出発という望みさえ叶える
ことの出来なかった私たちを、涼は憎んでいるのだ。
拉致、監禁、殺人を実行してしまうほどに。
そのことをはっきりと認識した途端、私の心は折れた。
それから、私はここに転がっているのだ。
全てが夢になってくれたらいいのに、そう思いながら。
「そう、うまくはいかないか……」
目を瞑る度に願っても、けして叶ってくれない願い。
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