過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」衣「その３だぞ!」【龍門渕】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲：安価】京太郎「……家が無い」衣「その３だぞ!」【龍門渕】

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995: ◆0CXAHEj7Mc[sage]
2012/09/03(月) 23:04:34.44 ID:/rm6D/tE0
菫「ああ、そうだ、重大なことを忘れていた」

少しだけ残念そうな顔を見せた菫さんはとぼとぼと離れた位置に落ちている黒い鞄を拾った。

……おかしいな、先程よりも赤黒く見える。

菫「なぁ、京太郎君」

菫「私が今日、何故辛い思いをして君から離れ、出かけたか知っているか?」

京太郎「……人に借り物をするためでしょう?」

ああ、離れるのが辛いな、と俺の傍で泣いていたのが彼女が出かける数分前のこと。

そのときに俺が聞いて、そして彼女はそう返した。

菫「ああ、人を狩り、物にするためだ」

……そのはずだった。

おい、ちょっと待ってくれよ。

どうしてそこの助詞が二つ代わっているんだ。

どうして借りと物の間に間が空いているんだ。

……それじゃあまるで、俺が間違えてそう解釈していたようじゃないか。

それならば彼女が出かけた本当の理由は――

菫「ほら」

と、鞄をひっくり返す。

力強く掴んでいるので、おそらく中に入っている大きなものはこぼれてこない。

しかし、小さなものは簡単に床に落ちる。

例えば乳白色と紅色が混じった特徴のあるにおいの液体。

例えばぶよぶよしたどこかで見た形の物体。

例えば真っ赤に彩られた糸。

例えばその中でも白く光る綺麗な玉。

例えば――

菫「なぁ、京太郎君、もう一度聞こう」

ぽい、と菫さんはそれを放り投げた。

一瞬ちらりと見えたその中身。

それは――

菫「君は誰が好きなんだ?」

京太郎「う……うわ――――」

菫「はむ……ん……れろ……」

大きく口を開き、叫ぶことも許されておらず、彼女は意図も簡単に俺の中に侵入した。

涙で抵抗する、涙で彼女を離そうとする。

菫「ん……ぷはっ……ぺろっ」

菫「ふふ。京太郎君はそんなに私とキスが出来て嬉しいのか」

菫「涙まで流して喜んでくれるなんて」

菫「うむ、私も嬉しい」

それすらも無意味だった。

菫「な、京太郎君」

菫「私も京太郎君を愛している」

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