26:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:01:57.41 ID:bOaug2Ec0
六、天気輪の柱
牧場のうしろからはゆるい丘になっていて、その黒い平らな頂上は、北の大熊星の下に、ぼんやりふだんよりも低く連って見えた。
男と女は、もう露の降りかかった小さな林のこみちを、どんどんのぼって行く。
女「この丘って、確か天気輪の柱が立ってた所だよね?」
男「そうだな。でも今はどうなってるかなぁ。」
まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照らしだされてあったのだ。
草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉は青くすかし出され、
男はケンタウル祭に持って行く烏瓜のあかりのようだとも思った。
そのまっ黒な、マツやナラの林を越えると、にわかにがらんと空がひらけて、
天の川がしらしらと南から北へ渡っているのが見え、またいただきの天気輪の柱も見わけられたのだった。
ツリガネソウか野菊かの花が、そこらいちめんに、
夢の中からでも薫りだしたというように咲き、鳥が一匹、丘の上を鳴き続けながら通って行った。
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