34:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:22:34.97 ID:bOaug2Ec0
男「ところでこの汽車、石炭を焚いてないなぁ。」
女「アルコールか、電気で動かしてるんでしょ。」
男「あったな、アルコールランプで走る汽車のおもちゃ。」
ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、
天の川の水や、三角点の青じろい微光の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのだった。
女「ああ、花も咲いている。秋の花だね。」
女が、窓の外を指さして言った。
線路のへりになったみじかい芝草の中に、月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんどうの花が咲いていた。
男「よし、おれがさっと下りて、一輪摘んできてやろ。」
男は胸を躍らせて言った。
女「危ないからやめなよ。もう、すぐ調子に乗るんだから。」
女が、そう言ってしまうかしまわないうち、次のりんどうの花が、いっぱいに光って過ぎて行った。
と思ったら、もう次から次から、たくさんのきいろな底をもったりんどうの花のコップが、
湧くように、雨のように、眼の前を通り、三角標の列は、けむるように燃えるように、いよいよ光って立ったのだ。
136Res/104.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。