43:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:41:08.10 ID:bOaug2Ec0
その白い岩になった処の入口に、
〔プリオシン海岸〕という、瀬戸物のつるつるした標札が立って、向うの渚には、
ところどころ、細い鉄の欄干も植えられ、木製のきれいなベンチも置いてあった。
女「あれ、変なのが落ちてる。」
女が、不思議そうに立ちどまって、
岩から黒い細長いさきの尖ったくるみの実のようなものをひろいあげた。
男「くるみの実だよ。ほら、岩の中にたくさん入ってる。全部化石だな。」
女「このくるみ大きいね。割って食べよっか。」
男「ばか。それより早くあそこに行って見よう。発掘作業してるみたいだよ。」
二人は、ぎざぎざの黒いくるみの実を持ちながら、またさっきの方へ近よって行った。
左手の渚には、波がやさしい稲妻のように燃えて寄せ、右手の崖には、いちめん銀や貝殻でこさえたようなすすきの穂がゆれたのだ。
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