49:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:52:36.31 ID:bOaug2Ec0
ところがその人は別に怒ったでもなく、頬をぴくぴくしながら返事した。
「乗客の行くべきところです。わっしは、鳥をつかまえる商売でね。
仕事場所に向かうときに、よくこの汽車にお世話になるんですよ。」
男「何鳥ですか。」
「鶴や雁です。さぎも白鳥もです。」
男「鶴はたくさんいますか。」
「居ますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか。」
男「いいえ。」
「いまでも聞えるじゃありませんか。そら、耳をすまして聴いてごらんなさい。」
二人は眼を挙げ、耳をすませた。
ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、ころんころんと水の湧くような音が聞えて来るのだった。
男「どうして鳥をとるんですか。」
「鶴ですか、それとも鷺ですか。」
男「鷺です。」
男は、どっちでもいいと思いながら答えた。
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