73:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:17:59.03 ID:bOaug2Ec0
そしてあの姉弟はもうつかれてめいめいぐったり席によりかかって睡っていた。
さっきのあのはだしだった足にはいつか白い柔らかな靴をはいていたのだ。
ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光の川の岸を進んだ。
向うの方の窓を見ると、野原はまるで幻燈のようだった
百も千もの大小さまざまの三角標、その大きなものの上には赤い点点をうった測量旗も見え、
野原のはてはそれらがいちめん、たくさんたくさん集ってぼおっと青白い霧のよう、
そこからかまたはもっと向うからかときどきさまざまの形のぼんやりした狼煙のようなものが、
かわるがわるきれいな桔梗いろのそらにうちあげられるのだった。
じつにそのすきとおった奇麗な風は、ばらの匂でいっぱいだった。
「いかがですか。こういう苹果はおはじめてでしょう。」
向うの席の燈台看守がいつか黄金と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果を落さないように両手で膝の上にかかえていた。
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