82:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:39:17.61 ID:bOaug2Ec0
そして車の中はしぃんとなった。
男はもう頭を引っ込めたかったのだが、明るいとこへ顔を出すのがつらかったので、だまってこらえてそのまま立って口笛を吹いていた。
男(どうしておれはこんなにかなしいんだろう。
あんな小さな子に当たるようではいけない。
あそこの岸のずうっと向うにまるでけむりのような小さな青い火が見える。
あれはほんとうにしずかでつめたい。おれはあれをよく見てこころもちをしずめるんだ。)
男は熱って痛いあたまを両手で押えるようにしてそっちの方を見た。
男(ほんとうにどこまでも女と一緒に行けるんだろうか。ああやっぱり不安なんだ。
ここに居る青年や姉弟なんかは海の事故にあってから来たみたいだし、
この汽車が行き着く場所がどこなのか、いまになって怖くてしょうがない。)
男の眼はまた泪でいっぱいになり、
天の川もまるで遠くへ行ったようにぼんやり白く見えるだけだった。
そのとき汽車はだんだん川からはなれて崖の上を通るようになった。
向う岸もまた黒いいろの崖が川の岸を下流に下るにしたがってだんだん高くなって行くのだった。
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