過去ログ - 勇者「時代は変わり」魔王「風と共に去りぬ」
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231: ◆2GCrAwA30Q[saga ]
2012/12/25(火) 19:39:08.77 ID:tbscooCH0

一族の内に秘される口伝の呪文を唱え始める。

それと同時に、全身の血管を『何か』が通りぬけ、体全体が戦慄くのを感じる。
吐き気と頭痛が同時に襲い、胃液が逆流しそうになるが、それを無理矢理に抑え込む。

古の時代においては、勇者の一族に生きる者は全て、その身に宿った異能を使いこなすため、
物ごころつく前から一貫して、異能の行使に耐えうる肉体を構築する為の、地獄の如き修練を積んでいたという。

勇者が必要とされなくなって既に二〇〇年余り。
一族においても既にこの不効率極まりない修練が行われなくなって久しい。

つまり、俺もこの修練を殆ど受けていないのだ。
如何にその血に異能を遺そうとも、それを常人の身のままで行使できる筈も無い。
『代償』は大きい。しかしやるしかない。

勇者中尉「――SHDI、ALCHI――」

呪文と共に、不快感は増し、視界が揺れる。
恐らく、眼は充血し、顔は死人の如く蒼褪めているだろう。
しかしそんな俺の姿とは対照的に、伝家のサーベルはその輝きを増す。
刀身を軸に、空気中のエーテルが集められているのだ。

その輝きに、恐れ知らずのキジルバシの顔に、恐怖が現れる。
慌てて鳥首を返そうとするが――もう遅い。



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