過去ログ - 勇者「時代は変わり」魔王「風と共に去りぬ」
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255: ◆2GCrAwA30Q[saga]
2013/01/24(木) 13:35:15.32 ID:592itGAm0



◇勇/魔◆



最初、乗り手のいない勇者中尉の馬が彼らの戻ってきた時、
『僕』も、曹長も、いや中隊の全ての兵士が、
勇者中尉は死んだものだと顔を蒼褪めさせたものだった。

燃える果樹園を飛び出し騎乗、勇者中尉が向かった場所へと急行すると、
血まみれの彼が地面に倒れているのが直ぐに見つかった。

幸い、重傷ながら死んではいなかった。
しかし、意識は無い。ならば、この場の指揮を誰かが引き継がねばならない。

副官少尉「……」

つまりは自分が、である。
僕は思わず、二度程生唾を飲み込む。

――はっきり言って、こんなことは想定外以外の何物でもない。
僕が軍人を志したのは、祖国への忠誠故ではなく立身出世の為だ。
むろん、人並みには愛国心はあるつもりだが、しかし人並み以上じゃあない。
五体を賭して七生報国せん、などといった熱い情熱はまるで持ち合わせていない。

故に、こんな突然の戦争など望んでいなかった。
こんな勝つか負けるか云々以前に、自分達の現状さえ五里霧中の戦争などは。

軍人である以上、いつかは戦場へ征くことは覚悟していたとは言えども、
それはこんな形でではなかったのだ。

立て続けの実戦だけでももう充分だ言うのに、
まさか指揮官の仕事までもせねばならないとは――

正直言って、今にも逃げ出したい。
指揮官など、自分の器ではないと、僕は自分でも思う。

――しかしだ



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