過去ログ - 勇者「時代は変わり」魔王「風と共に去りぬ」
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304: ◆2GCrAwA30Q[saga]
2013/04/13(土) 16:23:59.29 ID:r4ldxbTa0

彼女は、小さく声に出して毒づいた。
口元の刀傷が歪み、地が美しい容貌だけに、中々な凄絶な表情になる。
死線を抜けたばかりの両眼には、まだ戦闘による熱気と殺気が残っていし、
加えて彼女の声はハスキーであるために、小さな毒でも中々に迫力があった。

女エルフ中尉「(もし……こんなにも早く開戦すると解っていれば、もっとマシな装備で来たモノを……)」

彼女率いる第2エルフ槍騎兵連隊・臨時先遣小隊は、せいぜい五十騎程度の戦力に過ぎず、
その任務は斥候であるために、武器弾薬共に潤沢とは言い難い。

ここに至るまでに幾度かの戦闘を経た為に、その貴重な兵力・弾薬も既に消耗している。
最早、敵に対するハッタリであっても、当方武器弾薬充分に充実し士気も旺盛、などとは言えない現状だ。

女エルフ中尉「副長!まだか!」
エルフ副長「ただ今ッ!点呼取るぞ!」

苛立たしげに叫ぶ女エルフ中尉に、エルフ副長は急いで点呼を取り始める。
やはり明らかに数が先の戦闘前より減っているのが、数えずとも一見にて解った。

女エルフ中尉「(何が『今回はまだ偵察だけで済む』だ。ふざけやがって)」
女エルフ中尉「(そもそもなんで私達、槍騎兵連隊が、こんなむさ苦しいド田舎の……)」

点呼の様子を横目に見ながら、彼女が思い出すのは、
彼女達をこの場へと送りだした、連隊長の澄まし顔である。

そもそもことの始まりは――




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