過去ログ - 勇者「時代は変わり」魔王「風と共に去りぬ」
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340: ◆2GCrAwA30Q[saga]
2013/05/31(金) 18:38:24.74 ID:+UV8N+OZ0



◇勇/魔◆



――本来であれば、民家の曹長達の方から、攻撃を始める手筈だった。
しかし実際に、戦闘の口火を切ったのは、僕の部隊の方だった。

背を屈め、息を殺し、
徒歩で上手く敵スィパーヒー部隊の背後へと迂回を果たした時、
僕は“あるもの”の存在に気がついた。

副官少尉「(……楡の木か)」

背の高い、葉も生い茂った楡の木が見える。
農地と農地の間を走る道の交差点に聳え立つ楡は、
平時であれば日差しの強い日に、木陰で農民たちが涼む憩いの場であったろうと想像出来た。

副官少尉「……」

僕はハンドシグナルで、引き連れて来た射手達に身を沈めて体を草などに隠す事を命じ、
僕自身は、身を屈めながら、ゆっくりと楡の木の方へと近づいて行く。
恐らく、あの楡の木の上に登れば、スィパーヒー連中を上から見下ろす事が出来るだろう。

副官少尉「(……ふぅ……)」

少年時代に果樹などを育てる農園で下働きをしていたこともあるから、
木登りはかなり上手い方だという自負が僕にはある。

装填済みのカービン銃を背の方に回し、スリングの長さを調節して、
落としたり、色々な所にぶつかって音が立つような事が無い様にする。

そうして僕は、楡の木を登り始めた。



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