19: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/08/28(火) 13:58:08.74 ID:cG88bZ7Ho
体育館に大歓声が響き渡る。
一位は夜空……ではなく、この学校のミスコン少女だった。
夜空は惜しくも二位。それも数票差の僅差だった。
「おー、今年はマジで観客の中からミスコン出るところだったな」
「運営側で投票装置を渡す相手を選んでるってウワサもあるしな。三日月さんも頑張ったよ」
俺は周りから聞こえたそんな声に少し納得する。
確かに、企画的にはこの学校のミスコンを上げる必要があるだろう。
それにもっと考えれば、彼氏持ちだと思われたのはあまり良くなかったのかもしれない。
ちょっと周りを見るだけでも、夜空が彼氏持ちだと聞いて明らかに残念がっている人も結構いたし。
アイドルグループなんかもそういう恋愛スキャンダルってのは凄く叩かれるというのも聞いたことある。
夜空は負けたにも関わらず、そこまで落ち込んではいない様子だった。
というより、やっと終わってくれたという安堵の方が大きいのかもしれない。
夜空はステージ上で軽く挨拶をすると、すぐに俺達のところまで戻ってきた。
そして肩をすくめて、
「やはり私では優勝は無理だったようだ」
「そんな事はないのだ! アイツらきっとイカサマしたのだ! ワタシが全員地獄に落としてやる!!」
「わたくしも不正があったとにらんでおります」
「俺もなんか怪しい感じがするんだよな……でもマリア、一応シスターなんだから地獄に落とすとか言うのはやめとこうな?」
「むぅ……はぁ」
俺がマリアの頭を撫でると、不機嫌そうな表情が気持ちよさ気なものに変わる。
子供のこういう所は素直に可愛いと思う。
……いや、決してロリコンというわけではないけども。
夜空は少し苦笑して、
「憶測で物事を語るのはやめとけ。まぁ何にせよそこそこ盛り上がっていたようだし、企画的には成功なんだろう」
「夜空は二位でもそこまで気にしてないようだな?」
「むしろ私にしては上出来すぎる順位だろう。まぁ小鷹に言うこと聞いてもらうという約束がなくなってしまったのは残念だが……」
ここで夜空は言葉を切って、俺をじっと見る。
その顔は赤く染まっており、夜空らしからぬ本当に嬉しそうな微笑みが浮かんでいた。
「……私は、小鷹のあの言葉だけで十分満足だ」
夜空の言葉に、俺の顔が引きつるのが分かる。
おそらく彼女が言っているのは「俺の嫁」発言のことだろう。
この様子だと完全にあれを冗談だとは思っていないらしく、もしかしたら夜空の方は既に俺達は恋人同士であるみたいな感覚なのかもしれない。
俺はチラリと幸村とマリアの方を向く。
幸村は口を尖らせてちょっと不機嫌そうな表情をしていて、マリアはキョトンとしている。
だめだ、この二人に頼るわけにはいかない。もともと、俺のせいなんだ。
夜空は両手に視線を落として、もじもじと手を動かしながら、
「そ、その……私もちゃんと返事をしなければいけないんだろうな…………」
「よ、夜空!」
「え……?」
俺が慌てて夜空の言葉を遮ると、彼女はちょっと顔を上げて上目遣いで俺を見る。
その様子はとてつもなく可愛く、俺自身も顔に熱がこもるのを感じる。
この角度といい表情といい、もしかして計算しているんじゃないかとも思うが夜空はそんな事ができる人間ではない。
と、とにかく。
夜空がこれ以上何かを言う前に、俺から話さなければいけない。
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小鷹の言葉が>>20-22の中から、>>22の投稿時間のコンマ以下の数字で決定
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