524: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/03(月) 10:57:39.20 ID:WouuglLao
部員は全員集まっていた。
夜空はいつも通り本を読んでおり、理科は鏡に向かって髪をいじっている。
星奈はPSPに夢中になっていて、幸村はぼーっと突っ立っているだけ、マリアはポテチをバリバリ食べながら理科の発明品をいじっている。
そして、俺の後ろからは小鳩がひょこひょことついてきていた。
「おっす」
「おつとめごくろうさまです、あにき」
「あ、先輩!」
俺が挨拶すると、幸村は深々と頭を下げ、理科は何かを期待してこちらへ歩いてくる。
星奈もPSPから目を離さずに「んー」と気のない声で答えていた。
「おぉ理科。今日はメガネ無しでツインテールにしてんだな。あ、マリア、お前またポテチばっか食って…………」
「ちょっと待ってくださいよ!!!」
急に理科が大声をあげた。
俺はビックリして目を丸くして理科を見る。
「ど、どうしたんだよ急に?」
「いやいやいやいや、それだけ!? 女の子がこんなにもイメチェンしたのに反応それだけですか!?」
「……あー、似合ってる似合ってる」
「かるっ!! しかも面倒くさそうなのを隠そうともしない!!」
頬を膨らませている理科を置いて、俺は夜空の方に歩いて行く。
夜空はいつも通り真剣に本を読んでいて、特に変わったところもない。
「……よ、よう、夜空」
「あぁ」
俺は緊張して話しかけたが、夜空はちょっと本から顔を上げただけだった。
昨日はお互い凄く恥ずかしいことを言っていた気がするが、どうやら夜空はもう考えないことにしているようだ。
まぁ部活中にそういう雰囲気になるのも気まずいので、俺も特にその辺りには話をふらずに、夜空の隣の椅子に腰掛ける。
すると、急にマリアが、
「あー、ダメだぞ夜空。小鷹のことが好きならそういう素っ気ない態度は良くないのだ」
「「ぶっ!!!」」
俺と夜空が同時に吹き出した。
夜空は一気に顔が真っ赤になっているし、俺もなんか顔が熱いのでおそらく同じような感じになっているんだろう。
理科、幸村、小鳩の視線がこちらに集中する。
理科は明らかに疑わしげな目で、幸村はいつもの無表情の中にどこか不機嫌さを出して、小鳩はあからさまに不機嫌さ全開だ。
そして、それにはさすがに星奈も視線をPSPの画面からこちらへ移し、爆笑し始めた。
「ぶはははははははははははは!!! あんた十歳児に注意されてやんの!!!」
「だ、黙れ肉!!! というかマリア!! 貴様も急に何を言い出すんだ!!!」
「え、だって夜空は小鷹の事が好きなのだろ? それならもっと仲良くするのだ!!」
「……ぁぅ…………な、何を証拠に言ってるんだ!!」
「昨日小鷹が教えてくれたのだ! 昨日も小鷹と電話してたよなー?」
「小鷹、ちょっと来い!!!」
夜空はマリアの言葉を聞くと、すぐに俺の手を掴んで部屋の外へ出る。
理科部メンバーはみなキョトンとしていたが、そんなのはお構いなしだ。
夜空はそのままグイグイと俺を引っ張っていき、人気のない教室まで移動した。
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