594: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/04(火) 23:34:59.28 ID:KWWw9CIPo
「非科学的な事を言っているのは分かってますよ。でも、なぜか想像できないんですよね。
理科達はいずれ高校を卒業して、社会に出て、大人になっていくのに…………いえ、ただ単に理科が想像したくないだけなのでしょうね」
俺はどこか悲しげにそう言う理科をじっと見つめて口を開く。
こんな時何て言葉をかけるのが正解かだなんて分かるはずない。
それでも自分の言葉で、自分の考えを話すのが大切だと、俺はそう思う。
「……確かに今は楽しい。ちょっとありえないくらいに楽しいと思う。でもさ、それはこれからにも言えることなんじゃないか?」
「小鷹先輩?」
「一年前、理科はこんなに楽しい高校生活が待ってるとかって思えたか?」
「それは……」
「結局は高校生とか大人とか関係ないんだよ。その時になってみないと楽しいかどうかなんて分からないし、楽しくできるかどうかも分からない。
でもさ、ここでこうやってみんなと楽しく騒いだ思い出はきっと俺達の中にいつまでも残って、これからも楽しくしていけるんだと思う」
「…………」
理科は少し驚いたように俺を見つめる。
そして、
「……ふふ、なんか小鷹先輩、リア充みたいな事言いますね」
「あくまで想像だから何の確証もないけどな」
「いえ、割とその通りだと思いますよ。理科も、何となくそう思います」
「科学者は何となくとか曖昧な言葉を嫌う印象があったけどな」
「科学者としてではありません。一人の女子高校生として、ですよ」
理科が俺のことを見て微笑む。
その可憐な笑顔につられるように、俺の口元も緩む。
いつも俺の笑顔は怖いとか散々言われてきたが、今くらいはきっとマシな顔で笑えている気がする。
こうやって同じ部活でみんなと騒ぐ時間はいつまでも続かない。
高校を卒業すれば、それぞれ別の道を歩んで行く。
それでも、きっと。
俺達はずっと繋がっていて、社会に出て年をとってもこうしてまた集まって騒ぐことができる。
俺は、それぞれ騒いでいる理科部のみんなを眺めながら、そう思った。
隣から、理科の声が聞こえる。
「先輩」
「ん、どうした?」
「このウインナーの食べ方エロくないですか?」
「知らねえよ!!!!!」
あまりにも唐突な残念発言に、いつもはスルーするのに思い切り反応してしまった。
すると理科はそれはそれは嬉しそうに、
「ああん!! やっぱり反応してもらえるって最高です!! 理科、久しぶりの快感にびしょびしょです!!!」
「…………」
先程の理科は幻想だったのだろうか。
今俺の目の前に居る理科は、いつも通りの変態だった。
あのどこか儚げで、深みのある微笑みを浮かべた美少女はもうどこにも居ない。
そこに居るのはただの理科だ。
あぁ、何で理科は理科なんだろうか。
「そ、その目もいいです!! 先輩、もっと!!!」
俺はそうやって喘いでいる理科を放置して、そっと距離をとった。
誰に話しかける? >>595
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