過去ログ - 小鷹「安価で友達作る」 3
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631: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/05(水) 15:20:23.71 ID:eAheVhWHo

「あっ、先輩!」

理科が昇降口近くで待ち構えていた。
こうして多くの学生達の中に理科がいるというのは少し違和感のようなものがある。

その手には何かの包みがある。

「おぉ、どうした理科? ついにお前も普通に学校生活を送る気になったのか」

「いえいえ違いますよ。理科はこれからいつも通り理科室登校です」

「なんだよ……で、俺に何か用なのか?」

「ふっふっふ……よくぞ聞いてくれました先輩!」

理科はなぜか得意気にそう宣言する。
そして、手に持った包みをバッと突き出してきた。

「お弁当です、先輩!」

「……俺に?」

「はい!!」

俺は驚いて理科を見る。
普段のイメージからして、理科がこうしてお弁当を作るというのは意外と言うしかない。

俺は注意深くお弁当を受け取ると、

「……何か入ってんじゃねえだろうな」

「もちろん入ってますよ、先輩への愛情が!!」

「ばっ、そういう事大声で言うなって! ここは部室じゃねえんだぞ……」

俺がそう言うがもう手遅れで、周りの人間がヒソヒソと何かを言っているのが分かる。
内容まではよく聞こえないが、むしろ聞かないほうが俺のためにもいい気がする。

「けど、何で急に?」

「ほら、この前バーベキューで野菜を切ったじゃないですか。あれを機会に理科ももうちょっと女の子らしい事でもしてみようかなーって。
 ようするに単なる気まぐれ的なものが強いです。明日からはやらないかもしれません」

「あー、理科らしいな」

「時に先輩、やっぱり先輩的には女の子は料理ができたほうがいいんですかね?」

「それ夜空にも聞かれたな……別に俺は気にしねえよ。今時女の子は料理できなきゃいけないなんてのは古いと思うしな」

「えぇー、そうなんですか? それじゃ理科の苦労は……」

「いやでもできるならプラスだとは思うぞ」

俺がそう言うと、理科は顔を明るくさせてずいっと顔を近づける。

「それならもしもこのお弁当が美味しかったら結婚していただけると!?」

「誰もそんな事言ってねえ…………あ、そうだ理科」

俺はとある事を思い出して、鞄の中をゴソゴソと漁る。
そして首を傾げてその様子を見ていた理科にあるものを差し出した。

「ほら、俺の弁当。さすがに二つは食えねえから、こっちはお前が食ってくれ」

「……!! せ、先輩の愛妻弁当……!!!」

「それは日本語として正しいのか……? つーか、元々俺のために作ったやつだから愛情も何もこもってねえ」

俺は冷静に突っ込むが、理科は聞いていないようでただ目を輝かせて弁当を見ている。
別に大して豪華なものでもないが、ここまで嬉しそうにされると嫌な気はしない。
 


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