744: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/06(木) 23:53:56.92 ID:ckjcihEbo
それからしばらくお互い拮抗した戦いが続いた。
パイプ椅子と刀が何回も交錯し、少しずつダメージを与えていく。
カチャカチャと、コントローラーを操作する音だけが部屋に響く。
「……なんか色んな意味ですごい対戦になってますね」
理科がぼそりとそんな事を言うが、気にしている余裕はない。
もう夜空は俺が隙を見せても無用心に飛び込んでくることもなくなっている。
これは正面から削っていくしかなさそうだ。
お互いの体力が徐々に減っていく。
もう一回のコンボで決着をつけられるくらいにまでなっていた。
しかし、焦ってはいけない。
スタンスは変えずに、確実に体力を削っていく。それが一番いいんだ。
「…………」
「…………」
「…………」
「……ッ!!」
先に耐え切れなくなったのは夜空だった。
一気に勝負を決めようと、ここで連続攻撃を仕掛けてきた。
俺は内心バクバクだ。
なにせこれが決まったら確実に負けてしまう。
だが、俺はただじっと画面に集中して隙を探す。
自慢じゃないが、この髪のせいでリアルでケンカを売られたことはいくらでもある。
その時で学んだが、こうい時は焦ったら負けなんだ。相手が何をしてこようと、冷静に見極めて対処する、それが大事だ。
そして、読みきった。
夜空が、次に何をしてくるのか。
空中から斜め下へと急降下攻撃――。
「なっ……!」
ビンゴだった。
それに対し、パイプ椅子を振り上げて迎撃すると、素早くコマンドを入力してコンボを繋げていく。
パイプ椅子で殴打、ペルソナで感電……そして最後は前蹴りに加えて相手を地面へ殴り倒す拳が入った。
その一撃で鳴上悠の体力ゲージは空となり、画面にはKOの文字が浮かぶ。
俺の、勝ちだ。
「よっしゃああああああああああああああ!!!!!」
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