781: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/07(金) 23:34:25.19 ID:E/wSNGxto
夜空は一旦家に戻って水着を取りに行った。
俺はP4Uをやっている理科を後ろからぼんやりと眺め、
「夜空の水着……か」
「先輩、なに鼻の下伸ばしてんですか」
「の、伸ばしてねえよ! ていうかお前こっち見てないだろ!」
「その声だけで先輩のだらしない顔はよーく想像できます。まったく、やっぱり先輩の本命は夜空先輩なんですか」
「ちがっ……ただ俺は夜空って学校の水着以外持ってんのかなって思っただけだっての!」
俺は慌ててそう言う。
すると理科は目は画面に向けたままで「うーん」と唸って、
「まぁ普通に考えたらスク水でしょう。この学校はプールがないですし、中学時代のものとか」
「……さすがに中学時代の水着は着れないんじゃないか?」
俺と夜空は高二なので、中学といえばもう二年前という事になる。
そりゃ男と比べれば成長の度合いは小さいのかもしれないが、それでも成長期であることに変わりはない。
まぁウチの妹は小学生の時から体型が変わっていないように見えるが。
「でも先輩、夜空先輩が自分の水着とか持ってると思いますか? ていうか、休みの日にプールとか行くと思いますか?」
「それはないな」
「ですよね。だから理科は、夜空先輩はきっと無理矢理にでも中学時代のスク水で来ると見ましたね」
俺はぼんやりと夜空のスク水姿を想像する。
…………これはこれでアリかもしれない。
そんな事を考えた時、理科準備室のドアが開いた。
「き、着てきたぞ……水着」
「待ってました!」
理科はすぐにゲームの電源を落とすと、夜空の元へ向かう。
夜空はいつもの制服姿で、おそらくその下に水着を着てきているのだろう。
たぶん上が透けるのを気にしてか、サマーセーターも着ている。
「ちょうど今、夜空先輩がどんな水着を着て来るのか小鷹先輩と話していたところなんですよ」
「……そこまで面白いものではないぞ」
「分かってますって。安心してください、スク水も一定の支持は得られていますよ」
「む、いや、スク水ではないが……」
「「えっ!?」」
夜空の言葉に俺と理科が目を見開いて驚く。
本人はというと、そわそわと前髪をいじりながら、
「な、なんだ、私が水着を持っていてはおかしいのか?」
「いやおかしいっていうわけじゃねえけど……夜空ってプールとか行ったりするのか?」
「……夏休みに入る前、私がその、クラスの女子にプールに行こうと誘われたのは知っているな?」
「そういやそんな事あったな。……あ、そっか、じゃあその時に」
「あぁ。その時は水着がないから断ったのだが、一応……と思って買っておいたんだ」
「リア充の匂いがプンプンしますね」
「いや、そんな事はないだろう! 結局行かなかったし!」
理科のジト目に、夜空は慌てて反論する。
俺としては別にそこまで否定することでもないと思う。リア充は悪ではないし。
……そういえば、クラスでは夜空も結構話しかけられるようになってんだよなぁ。
相変わらずな俺と違って、ちゃんと理科部に入って人付き合いがマシになっている辺りさすがエースだ。
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