816: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/08(土) 13:55:16.92 ID:xYC7e4XIo
思わず受話器を取り落としそうになった。
電話の向こうの理事長が指す“君”というのはどう考えても俺のことだ。
おいおいおい。
突然同じ部活の女の子が婚約者だと判明するなんて、今時ラノベでもなかなかない。
『昔、まだ君達がここに居た頃は家族ぐるみで交流があってな。
星奈と君も幼い頃に一緒に遊んでいた時もある。写真も残っているぞ』
「そ、そうなんですか……」
考えてみれば、親同士で仲がいいのならそこで会っていたという事は何もおかしくない。
しかし急に言われるとなんだか不思議な感じがする。
それにクロニカで再会した時は星奈とは色々と険悪だったし……。
「で、でも、婚約っていうのは……?」
『あぁ、その頃に私と隼人で取り決めてな。実は誓約書も存在するのだ。君達の拇印も押されている』
「……な………ぁ…………」
俺は口をパクパクとさせることしかできない。
何だこれは。
理科部のみんなには何て言えばいいんだ。特に夜空。
それに星奈本人が絶対に納得するはずがない。
「あ、えっと、理事長! お、俺……」
『分かっている。急にこんな事を言われても困るだろう。それに婚約というのも君達が物心つくまえに私と隼人で勝手に決めただけだ』
「そ、そうですよね! はは……」
『しかしな小鷹くん。星奈との婚約の件、少し真剣に考えてもらえないだろうか?
私はどこの馬の骨とも分からない男に大切な娘を預けることなんてできない。だが相手が君ならば私も安心なんだ』
「いっ……!」
『それに星奈はほら、勉強はできるのだがどこか抜けている事がある。やはりしっかりとした者がついてもらわないと、この柏崎家というものも危ういのだ……』
理事長の真剣な声に、俺は目を白黒させて呆然と聞くことしかできない。
星奈との婚約を真剣に考える?
いやいやいやいや、無理だ無理だ。
まだ高校生の俺にそんな事は全く考えることはできない。
それに何より、星奈自身が猛烈に嫌がる。
そんな俺を置き去りにして、理事長はなおも話し続ける。
『親バカかもしれないが、星奈は容姿も優れている方だろう? それに少し口の悪いところはあるが、芯は通った子だ。だから小鷹くん……』
「ちょ、ちょっと、ま、待ってください!!」
俺は慌てて理事長の言葉を遮る。
このままだとまずい。とにかく何か言わないといけない。
「>>817」
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