911: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/12(水) 03:25:03.02 ID:KWJIPSLgo
俺は小さく苦笑して言葉を続ける。
「それに、俺は日向さんが分かってくれていればそれでいいです。こうして俺が手伝うのは何かを企んでいるからとかじゃないって」
「何をバカな。そんな事思うわけないだろう」
「ありがとうございます」
「……感謝、か」
日向さんはポツリと呟くと、黙りこんでしまった。
俺は気になって、首を後ろに向けてその姿を確認する。
日向さんは俯いて、悲しそうな目をしていた。
「日向……さん?」
「なぁ、小鷹。私はお前がこうして手伝ってくれて心の底から嬉しいと思っている。
だから、私から感謝することはあっても、小鷹が感謝する事なんて何もないんじゃないか……?」
日向さんの言葉に、俺は再び前を向く。
そして、ハッキリと言う。
「こうして、日向さんがちゃんと俺のことを分かってくれているって事が俺にとっては凄くありがたいんです」
「…………」
日向さんのように、俺のことを真っ直ぐ見てくれる人は少ない。
そんな人に感謝していないわけがない。
こうして少しでもこの人の役に立つのは、俺にとって嬉しかった。
その時、日向さんの足がピタリと止まった。
それに伴って、自然と俺も立ち止まらざるをえなくなる。
俺は再び首を動かして後ろを向く。
「……どうしました?」
「小鷹」
日向さんは真っ直ぐ俺の目を見つめる。
その全てを吸い込む綺麗な黒真珠のような瞳から、俺は目を離す事ができない。
日向さんは、静かに口を開く。
「>>912」
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