929: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/13(木) 03:07:02.27 ID:LLo/0mxeo
ふと目に入った教室の中。
そこでは二人の男女がかなり密着した状態で、嬉しそうに何かを話していた。
いわゆるカップルというやつだろう。
夕日に染まる教室に二人きりというかなりいい雰囲気で、放っておけばキスなんかおっ始めそうだ。
俺は少し落ち着かなくなり、
「え、えっと、行きましょうか」
「あぁ……まったく青春しているな羨ましい。私はこうしてヤンキーと巨大パネルを運んできた帰りだというのに」
「ひ、ひどっ!!!」
「くはは、冗談だ冗談。あ、いや、羨ましいというのは本当かな」
「へぇ……」
「ん、どうした?」
「いえ、日向さんもそういう事に興味あるんだなって」
「なんだ、私だって華の女子高生なんだぞ。恋愛事に興味があってもおかしくはないだろう?」
日向さんはニヤリと笑ってこちらを見る。
どこまで本気なのか分かりづらいが、たぶん全く思ってもない事を言っているわけではないだろう。
そういえば昨日の電話でも生まれてこの方恋愛沙汰とは縁がなかったとか言っていた気がする。
これは一応真面目に話に乗った方がいいのだろうか。
「ぶっちゃけ、男から見たら日向さんは高嶺の花で手を出しづらいっていうのがあると思いますよ」
「むぅ……別に私はそこまでできた人間でもないのだがな…………」
「自分ではそう思っていても、周りは違うってことですよ。
男としてはちょっと情けないかもしれませんけど、日向さんから攻める方が効果的かもですね」
「といっても、目ぼしい男が……あ、目の前に居た」
「いやいやいや、日向さんならもっと良い人狙えますって」
俺は慌ててそう言う。
もしこんな事を誰かに聞かれれば、また変な噂を流されかねない。
それに、俺と日向さんなんて釣り合わないにも程があるだろう。
日向さんはうーんと唸って、
「良い人……と言われてもなぁ。あ、そうだ小鷹。お前は誰かそういう相手は居ないのか?」
「え……!」
「ほら、私だけこういう事言うのは恥ずかしいだろう。小鷹も何か話せ」
「微塵も恥ずかしさなんか見られないんですけど。それに何かって言われても…………」
「お前の恋愛経験を聞かせてくれという事だ。私よりはそういう経験もあるだろう?」
「そんな事は……」
そこまで言って言葉に詰まる。
今まで日向さんの言うような恋愛沙汰は皆無だった。そもそも友達すら居なかったし。
だから、前までの俺だったら「俺も恋愛事なんかとは無縁ですって!」と笑い飛ばせたかもしれない。
しかし、今は頭の中にとある女の子の頭がよぎる。
生まれて初めて俺のことを好きだと告白してくれた子。
俺の幼馴染で色々残念な所は多いが、大切な友達の一人。
俺は少し考えて口を開く。
「>>930」
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