110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/08(土) 23:31:20.48 ID:R6AaFDA/o
これはまずい。あたしは普通の中学生活を逸脱した行動をするこいつらと一緒に遊び
まわることには抵抗はなかったけど、仲間うち以外の人たちといざこざを起こすのは嫌だ
った。
悪いことにさっきの家から出てきた生徒たちは別な方向に向って行ったようで、人気
の無い路面には酔ったイケヤマの友だちと真面目そうな三人組しか残っていない。
突然イイダはいきなり眼鏡の顔を殴った。酔ってなければ因縁をつけるくらいで済ん
だかもしれないけど、悪いことにこいつらには相当お酒が入っていたのだ。
眼鏡はイイダに殴られよろよろと路面に倒れた挙句、何とか立ち上がったかと思うと
女の子たちを残して一目散にどこかに駆けて逃げてしまった。
後には怯えたように身を寄せ合っている中学生の女の子二人が残された。
「もういいでしょ」
あたしは震え声で言った。「もう帰ろうよ」
「・・・・・・明日香がいたか」
イイダが言った。「イケヤマさ、明日香にはもう帰ってもらった方がいいんじゃね」
「・・・・・・そうだな。明日香一緒に帰るか」
イケヤマがあたしに言った。
「え」
イイダが意外そうに言った。「イケヤマも一緒に帰っちゃうのかよ。本当にそれでい
いのか」
「こいつらは放っておいて帰ろうぜ」
イケヤマはイイダの言葉に耳を貸さずにあたしにそっと言った。
その時小さな悲鳴が聞こえた。
一人が身を寄せ合って黙りこくって震えている女の子のうちの可愛い方の子を抱き寄
せたのだ。
「黙れ」
そいつは華奢なその子を抱き寄せながら言った。「おまえ死にてえの?」
「名前を言えよ」
イイダがイケヤマから目を離してその子に命令した。もう酔いは覚めたようだった。
無理矢理抱き寄せられながら俯いていたその子は脅かされて仕方なさそうにぼそぼそ
と何か言った。
「聞こえねえよ。もっとでかい声で言え」
「・・・・・・スズキナオ」
「ナオちゃんか。こいつ富士峰の生徒じゃん。イケヤマおまえ本当にいいの? おまえ
の好きなセーラー服の女の子だぜ」
あたしはイケヤマに肩を抱かれながら、知らない男に抱き寄せられて俯いて震えてい
るセーラー服姿の華奢なその子を見つめた。
スズキナオ。富士峰の制服。あたしの大嫌いな兄貴の実の妹。
鈴木奈緒。あたしの大嫌いな女。
あたしは自分の肩を抱いていたイケヤマの手を振り払った。
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