過去ログ - ビッチ
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135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)
2012/09/13(木) 23:44:05.57 ID:UgMRWwDko

 その土曜日の午後、僕はナオのピアノ教室の前で彼女を待っていた。それはクリスマス
明けの二十六日の土曜日のことだった。クリスマスには陰鬱な曇り空だった天気は、どう
いう空の気まぐれかその日はちらほらと雪が振り出していた。

 結局、臆病な僕は付き合いだしたばかりのナオにイブを一緒に過ごそうと持ちかける
ことはできなかった。でも誘わなくて正解だったようだ。富士峰はイブの日とその翌朝は
は礼拝と集会があるのとナオは僕に言った。

 イブの日のデートに勇気を出してナオを誘っていたら結局僕は彼女に断られることにな
っていたのだから。

 でもその話を聞いた兄友と女さんは笑い出した。

「何だよ。そんなのおまえに誘ってもらいたかったに決まってるだろ」

「だって学校の行事があるからって」

「そこで、じゃあ何時になったら会える? って聞けよアホ」

「そう聞いたらどうなってたんだよ。勝手なこと言うな」

 僕は二人の嘲笑するような視線に耐え切れなくなって言った。

「まあまあ、落ち着きないさいよ」

 女さんがそう言った。

「落ち着いているって」

「でもあたしも兄友の言うとおりだと思うな」

「どういうこと?」

「ナオト君が彼女を誘っていれば、学校行事はサボるとかさ。そこまで行かなくても夕方
には時間がありますとか絶対言ってたよ、ナオちゃんは。むしろ期待してたんじゃない
の? 可愛そうに」

 女さんにまでそう言われてしまうとこの手の話題には疎い僕にはもう反論できなかった。

「じゃあ二十六日とかに一緒に遊びに行くか」

「それでも何もしないよりましかもね」

 兄友と女さんが目を合わせて笑った。


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