138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/13(木) 23:47:30.74 ID:UgMRWwDko
僕がナオに話しかけようとしたとき、それまでナオの背後に隠れていた小柄な女の子が
目に入った。僕と目が合ったその女の子はにっこりと笑った。
「こんにちは」
「ユキちゃん、何でいるの?」
ナオも少し戸惑ったようにユキという子に言った。
「何でって帰り道だもん。それよか紹介して」
「まあ・・・・・・いいけど。前にも話したと思うけどあたしの彼氏のナオトさん。ナオトさん、この子は学校の同級生でユキちゃんっていうの」
「はじめましてナオトさん」
ユキちゃんは好奇心で溢れているという様子で、それでも礼儀正しく僕にあいさつして
くれた。
「あ、どうも」
もともと女の子と話すことが苦手な僕にはこれでも上出来な方だった。とにかく今まで
ナオとここまで普通に会話できていることの方が奇跡に近いのだ。僕とナオの出会いがナ
オの言うように運命的な出来事だったせいなのかもしれないけど。
「ナオトさん。ユキちゃんは親友なんです。学校もピアノのレッスンも一緒なんですよ」
「そうそう。それなのに最近土曜日のレッスン後はナオちゃんは一緒に帰ってくれないし。
何でだろうと思ってたら彼氏が出来てたとは」
「ごめん。でも前にも話したでしょ」
「ナオトさん、ナオちゃんは奥手だけどいい子なんでよろしくお願いしますね」
ユキが笑って僕に言った。
「何言ってるの」
ナオが顔を赤くした。
「そうだ、ナオトさん。親友の彼氏なんだしメアドとか交換してもらってもいいですか」
え? 僕は一瞬ためらった。ナオの親友には冷たくするわけにはいかないし、かといっ
て会ったばかりのユキとメアドを交換することに対してナオがどう考えるのか僕にはよく
わからなかった。
僕は一瞬ユキに返事ができずナオの顔色を覗った。ナオは心なしか少しだけ不機嫌そう
な気がする。そんなにあからさまな様子ではないけれど。
でも彼女の親友にメアドを教えてって言われたくらいで気を廻してそれを断る勇気は僕
にはなかった。
ナオがユキに何か言ってくれればいいのだけど、ナオは相変わらず微妙に不機嫌そうな
雰囲気を漂わせたままのすまし顔だ。
「うん、いいよ」
僕はそれ以上考えるのを諦めてユキに返事をした。
「やった」
ユキが可愛らしく言った。別に彼女に興味を持ったわけではないけど、やはりこの子も
ナオと同じくらい可愛らしい子だった。
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