166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/22(土) 23:47:38.30 ID:f/e6iMFao
この晩、あたしは兄貴と奈緒がまだ付き合ったばかりだということを兄貴から聞いた。
あたしは単刀直入に兄貴に尋ねてみた。
「で、あの子の名前は?」
「鈴木ナオ」
「ふーん。で、そのナオって子のこと好きなの?」
「・・・・・・好きじゃなきゃ付き合うわけないだろ」
その時どういうわけかあたしは涙が浮ぶのを止めることおができなかった。これはいっ
たい何のために流して衣類涙なのか。
きっと運命とか一番身近な異性とか気持悪いことを考えすぎたせいだ。それに兄貴がは
っきりと好きと断言した奈緒に対して酷いことを仕掛けているという罪悪感もあったかも
しれない。もちろんそれは奈緒に対してではなく兄貴に対する罪悪感だけど。
「泣いてるの? おまえ」
あたしを放って自分の部屋に戻ろうとしていた兄貴が戸惑ったように言った。
「・・・・・・泣いてない」
困ったような顔をしてあたしの脇にいた兄貴は、やがて突然あたしの肩を抱きしめた。
あたしは一瞬驚きそして赤くなった。こういうコミュニケーションを兄貴のほうからし
てくるのは初めてだったから。
あたしは思っていたより大きな兄貴の手で肩を抱かれどきどきしながらまるで本当に自
分が扮しているような初心な女の子になってしまったような気がして、ひたすら体を固く
していた。
結局兄貴はあたしとイケヤマの別れを知っていて、あたしがそのことに悩んでいると思
っていたようだ。いい兄貴としてあたしを慰めようとしたのだ。一瞬自分の勘違いに腹を
たてたあたしだけど、それでもこういうコミュニケーションを兄貴のほうからしてきたの
は前進だった。
きっとこれも清楚な女の子に変身したおかげだろう。昨日までのあたしならこの程度の
ことでさえ兄貴がしてくれるわけがない。あたしは叔母さんに感謝した。
あたしは兄貴を見つめて真面目な顔で言った。「明日からはもうギャルぽい格好するの
やめたの。お兄ちゃんのためにこれからはずっとこの路線で行くから」
兄貴は今度こそ本当に呆然とした様子であたしの肩から手を放してあたしを見た。
次の夜に兄貴と話をしたとき、あたしはもう迷わなかった。両親が不在の家に帰宅した
兄貴はあたしの用意した夕食を見て失礼なことにすごく驚いているようだった。
「さっきから何なの? 妹がお兄ちゃんにお風呂沸かしたり食事を用意するのがそんな
に不思議なの?」
「うん。不思議だ。だっておまえこれまでそんなこと全然しなかったじゃん。むしろ僕
の方が家事の手伝いはしてただろ」
「ふふ。これからは違うから」
あたしは微笑んだ
「はい?」
「あたしはもう彼氏とも別れたし遊ぶのも止めたの・・・・・・それは今さらピアノを習うわ
けには行かないけど」
「おまえ、何言ってるの」
あたしは立ち上がって兄貴の隣に席を移した。
「いい加減に気づけよ。あたしはあんたのことが、お兄ちゃんのことが好きだってアピ
ールしてるんじゃん」
あたしは兄気に抱きついてキスした。
1002Res/1204.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。