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181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/24(月) 23:54:55.39 ID:iCwr9AuZo

「あの時助けてくれた人だったんですね」
 意外なことにユキはあまり驚いた様子はなかった。世間知らずの子たちにとっては死ぬ
ほど恐い思いをしたはずなのに、その様子は怒ったり恐がったりというよりはむしろ何か
に驚いている様子だった。「びっくりしたなあ。これって偶然ですか」

「はい?」
 ユキは何を言っているのだろう。「偶然って?」

「あ、はい。ついさっき、あの時明日香さんと一緒にあの男の人を止めて助けてくれた人
が話しかけてくれたんです」

「・・・・・・ああ」

 何だ。イケヤマのことか。あたしは拍子抜けした。あいつはやっぱりいきなりこの子に
声をかけて誘う勇気はなかったようだ。この調子だと力ずくでこの子をどうこうするなん
てことも考えられないのだろう。でもこれがイケヤマの外見に似合わず常識的なところだ。
あたしはイケヤマと付き合っているときはこいつのこういうところが好きだった。

「イケヤマさんって名乗ってましたけど、あの時は仲間が酷いことしてごめんなって謝っ
てくれました」

 ユキが言った。

 それだけではなかったろう。この子をあそこまで笑わせていたのだから。

でもそのことを聞こうと思ったとき、彼女があたしにとってもっと興味深い話を始めたた
めイケヤマの話はそこまでとなった。

「あとイケヤマさんにお会いする前に、奈緒ちゃんと待ち合わせしていた明日香さんのお
兄さんともお会いしました。奈緒ちゃんにお兄さんを紹介してもらって少しだけどお話し
もしたんですよ。」

「そうなんだ。兄貴って女の子に慣れてないし何か失礼なことされなかった?」

 とんでもないと言うようにユキは勢いよく首を横に振った。

「まさか。ナオトさんって格好いいですよね。ナオトさんが彼氏なんて奈緒ちゃんがうら
やましい」

 本気で言ってるのかこの子は。どこをどう見れば兄貴が格好いいと言うという話になる
んだろう。でもユキは嬉しそうにそう言った。どうやらあたしに気を遣っているわけでも
ないらしかった。


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