191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/27(木) 00:17:07.57 ID:Ni0AA1zQo
「未成年のあんたたちを勝手に夜の街中に連れ出したら、あたしが姉さんに叱られるわ」
叔母さんがにべもなく言った。
「え〜。黙ってればわからないじゃん」
明日香が不平を言った。
「そうもいかないの。じゃあ、出前で寿司でも取るか。ご馳走してやるから」
「じゃあお寿司よりピザ取ろうよ。あとフライドチキンも」
寿司と聞いて嫌な顔をした明日香が提案した。こいつの味覚はお子様なのだ。
「ピザねえ・・・・・・奈緒人君は寿司とピザ、どっちがいい?」
どっちかと言えばもちろん寿司だった。さっきカラオケでピザとフライドチキンを食べ
たばかりだし。最初兄友のリクエストをあさっりと却下した女さんだったけど、実際に注
文した食べ物が運ばれてくるとピザとチキンバスケットもその中にちゃんとオーダーされ
ていた。
兄友に厳しい様子の女さんも結構気を遣ってあげてるんだと、僕はその様子をうかがっ
て妙に納得したのだった。
それはともかく決してピザもチキンも嫌いではないけど昼夜連続となると正直あまり食
欲が沸かない。まあでもそれは僕だけの事情だから、ここでわがままをいう訳にもいかな
い。
「どっちでもいいですよ」
僕がそう言うと叔母さんは少しだけ僕の顔を眺めてから微笑んだ。
「相変わらずだね、君は。もう少しわがままに自己主張した方が結城さんも姉さんも喜ぶ
じゃないの」
時々この人はこっちがドキッとするようなことを真顔で言い出す。僕はどう反応してい
いのか戸惑った。こんなことはたいしたことではない。わがままな明日香に譲歩するなん
ていつものことだったし、両親不在の夕食なんて今まではカップ麺とかで凌ぐのがデフォ
ルトになっていたのだ。
「明日香さあ、あんたのお兄ちゃんはお寿司の方が食べたいって。どうする? あんたが
決めていいよ」
何を訳のわからないことを。僕はその時そう思った。当然、ピザがいいと騒ぎ出すだろうと
思った僕は、妹が少し考え込んでいる様子を見て戸惑った。
「お兄ちゃんってお寿司が好きなんだっけ」
え。明日香の意外な反応に僕は固まってしまいすぐには返事ができなかった。
「いや。別にピザでも」
「じゃあお寿司でいいや。特上にしてくれるよね、叔母さん」
「あいよ。あんたが電話しな。好きなもの頼んでいいから」
叔母さんは明日香に言いながらも僕に向かってウィンクした。
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